ノなっていた。エカテリナ二世がその小部屋をすいていて、毎日長い時間をそこで過したという見事なディヴァンのある「支那室」や、ニコライ二世の大理石の浴槽、その妻や娘たちの衣裳室というようなところを、見学団の数百の若いものたちは好奇心と無感興と半々な表情でだまって見て歩いた。彼等は博物館の内部を見おわって、そこからニコライ二世がシベリアへの旅へ出て行ったというフレンチ・ドアから自分たちも出て、公園の森と池とを見おろす大露台へかかると、はじめて解放されたように陽気になり、さわぎだし、喋ったりふざけたりする。
そのフランス風の大露台から左手に見える森をへだてて、公園のはずれに、古風で陰気な石造の小建築がある。プーシュキンが少年時代をそこで教育された貴族学校のあとだった。その建物と往来をへだてた斜向いのところに、目立たない入口をもった石造の二階建の家がある。建物に沿った古びた石じきの歩道をゆくと、その建物の一階の四つの窓に白レースの目かくしがたれて、桃色のきれいなゼラニウムの花が、窓のひろさいっぱいに飾られているのがちらりと目に入った。その建物はもと貴族学校の校長の家だった。いまはパンシオン(下
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