氓フ日、文化部を訪ねて来るように招かれた。四日目に、伸子たちは、十月革命の時期、レーニン夫妻が自分たちの室として住んでいたというスモーリヌィの、もと掃除女の部屋だった小室を見せて貰った。
そんなことは、何ひとつヴ・オ・ク・スの紹介状には記入されていないことだった。モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]では、どこでも、紹介状の当てられたその部面だけが、伸子たちの前にひらかれた。一通の紹介状は二度役に立たず、二つの部門に共通しなかった。スモーリヌィでは、伸子たちの前に開いた婦人部のドアが、次から次へと別のドアを開き、次から次へと別の人が現れ、その人々は、それぞれ自分から説明し、伸子たちに訊ね、ちょいとしたユーモアをあらわした。文化部のパシュキンが云ったように。――パシュキンは、玉蜀黍《とうもろこし》色の髪の毛をポヤポヤさせた大きい体を、窓ぎわに立っている伸子にふりむけて、こう云った。
「さあ、どう思いますか、我らの達成[#「我らの達成」に傍点]は素晴らしいでしょう、ここにこういう手紙が来ましたよ、遠い田舎の女から……」
|我等の達成《ナーシャ・ドスティジェーニア》という言葉は、そ
前へ
次へ
全1745ページ中400ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング