ォ片仮名ワ、1−7−82]は、メーデイがすぎ、にわかに夏めいた日光がすべてのものの上に躍りだすと、いかにも平地の都会らしく、うるおいのない暑さになって来た。
 伸子たちは夜の十一時すぎの汽車でモスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]の北停車場を出発した。汽車がすいていて、よく眠って目がさめたとき列車の窓の外に見える風景が伸子をおどろかせた。列車は、ところどころに朽ちかけた柵のある寂しいひろい野原に沿って走っていた。その野原の青草を浸す一面のひたひた水が春のまし水のように明けがたの鈍い灰色の空の下に光っていた。瑞々しい若葉をひろげた白樺の林がその水の中に群れ立っている。白と緑と灰色の色調の水っぽくて人気ない風景は、いかにも北の海近い土地に入って来た感じだった。
 汽車の窓から見えた北の国らしい風物の印象は、レーニングラードという都会にはいって一層つよめられた。バルト海に面していくすじもの運河をもつこの都会は十八世紀につくられた。橋々は繁華で、いまは十月通りと呼ばれるもとのニェフスキー|大通り《プロスペクト》はヨーロッパ風だけれども、都会の目抜きなところがドイツをまねたヨーロッパ式でい
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