ネい予感もするのだった。伸子は、思案にあまって台所にしばらく立っていた。どうしたら、自然にわけのわからない応対をうちきることが出来るだろう。
 ややしばらくして、伸子は思いこんだような顔つきになって、室へ戻って行った。そして、苦しそうな、せっぱつまった調子で、
「ねえ」
と素子に云いかけた。
「失礼だけれど、わたしたち、そろそろ時間じゃない?」
 素子は、この突然の謎をとくだろうか。その日曜に外出の約束なんか二人の間に一つもありはしなかったのだから。素子は、
「ああ」
と、ぼんやり答えたぎり、窓のそとにキラキラするフラム・フリスタ・スパシーチェリヤの金の円屋根の方を眺めてタバコをふかしている。宮野は伸子がそう云い出しても帰りそうな気配がなかった。
 伸子は、また落付かなくなって室を出た。自分たちも出かけるにしろ、伸子は行先にこまった。日曜にあいているところ、そして、男はついて来にくいようなところ、どこがそういう場所だろう。伸子は、やっと裁縫師のところを思いついた。室へ戻ると、それをきっかけのように素子がテーブルのあっち側に立ち上った。
「じゃ、出かけましょうか」
 ひどくあっさりときり
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