ノ大きな金の円屋根はひとしお金色にかがやいて見える。
 ――伸子は、ものを書きはじめた。

        二

 その日は日曜日だった。素子は、この頃たいてい毎日モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]大学の文科の講義をききに行っていた。その留守の間、伸子は一人をたのしく室にいた。そして伸子の旅費を出している文明社へ送るためにモスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]の印象記を書いていた。日曜は素子の大学も休みだし、従って一つしかテーブルのない室では伸子の書く方も休日にならないわけにゆかず、二人は、ゆっくりおきて、素子は背が高いからそっちに臥《ね》ているベッドの方を、伸子は背が低いからこっちに臥ているディヴァンを、それぞれ片づけていた。
 そこへドアをノックして、ニューラがギリシア式の、鼻筋のとおった浅黒い顔をだした。そして、なまりのつよい発音で、
「あなたがたのところへ、お客ですよ」
と告げた。
 伸子と素子とは思いがけないという表情で顔を見合わせた。誰が来たんだろう。二人はまだ起きたばかりでちゃんと衣服をつけていなかった。
「――仕様がないじゃないか!」
 素子が、ロシア風
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