ノ一メートルばかりあいたところがある、そこに佇んでいる。寝台の頭と直角に壁をふさいでいるもう一つの寝台兼用の皮張り大型ディヴァンに素子がかけ、ディヴァンに向ってその室の幅いっぱいの長テーブルのこっち側の椅子に伸子が横向きにかけていた。小さな室はアストージェンカの角を占める建物の外側に面しているので伸子のうしろの窓からは雪の丘と大教会が目のさきに見えた。素子が奥のディヴァンにおさまっているのは、そこを選んでかけた、というよりも、むしろそっちへ行ってみていた彼女のあとから伸子やルイバコフ夫妻がつめかけたので、素子はディヴァンと長テーブルとの間から出られなくなってしまっている、という方がふさわしかった。そんなにそれは小さな室なのだった。

 伸子たちこそ、モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]市街地図の上でさがさなければならない一区画であったが、アストージェンカと云えば、モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]の人には知られている場所だった。伸子が、遠くから金色にきらめいて見える円屋根を、目じるしにして電車を降りた小高い丘の上の大寺院はフラム・フリスタ・スパシーチェリヤ(キリスト感
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