A自分の心のそんな柔かさをどうすることが出来るだろう……。
伸子は、三月近いモスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]のよごれてふくらみのへった雪の見えるホテルの二重窓の前に長いあいだ佇んでいた。
第二章
一
それは、ほんとに狭い室だった。ヴェラ・ケンペルが彼女夫婦の暮している鰻《うなぎ》の寝床のように細くて奥ゆきばかりある住居をモスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]の壁と壁とのわれめ、といったのが当っているとすれば、伸子と素子とがアストージェンカの町角にある建物の三階に見つけた部屋は、モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]の壁と窓とのすき間住居と云うようだった。
マリア・グレゴーリエヴナと、三人であっちこっちさがして歩いた貸間には住めそうなところがなくて、モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]夕刊に出した求室広告に案外三通、反応があった。
一通はモスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]河の向う岸にいる家主からだった。一通はトゥウェルスカヤの大通りをずっと下って鷲の森公園に近いところ。最後の一通がアストージェンカ一番地、
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