スい。この夏はメロンを栽培してお父様、お母様そのほかうちのみんなにたべて貰おうと思う。そうかいたハガキの終りに、やっと余白をみつけて、
「僕は姉さんにもっと手紙を書きたいと思っている」
と、その一行は本文よりも一層こまかい字で書かれていた。ハガキはそれで全部だった。
 並木道《ブリ※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]ール》のベンチの前には乳母車がどっさり並んで赤坊たちの日光浴をやっていた。遊歩道の上で安心しきっておっかけっこをしている小さい子供らが、外套の上から毛糸の頸巻きをうしろでしょっきり[#「しょっきり」に傍点]結びにされたかっこうで、駈けて来ては通行人にぶつかりそうになる。伸子は、物思いにとらわれた優しい顔つきで、いちいち、つき当りそうになる子供たちの体に手をかけて、それを丁寧によけながら、モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]夕刊社のある広場まで歩いて行った。僕は姉さんにもっと手紙を書きたいと思っている。――保がそう云っているのはどういう意味なのだろう。日頃から、もっと書きたいと思っている、というわけなのだろうか。それとも、これからはもっとちょくちょく書きたいと思って
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