レ立った。ポリニャークの席にウォツカの杯が倒れていて、テーブル・クローズに大きい酒のしみができている。秋山宇一と内海厚は気楽な姿勢で椅子の背にもたれこんでいる。反対に、素子がすこし軟かくなった体をテーブルへもたせかけるように深く肱をついてタバコをふかしている。伸子がまたその室へ入って行って席についたとき、素子のタバコの先から長くなった灰が崩れてテーブル・クローズの上に落ちた。
「――どうした? ぶこちゃん」
 ちょっと気にした調子で素子がテーブルの向い側から声をかけた。
「気分でもわるくなったんじゃない?」
 伸子は、いくらか顔色のよくなくなった自分を感じながら、
「大丈夫……」
と云った。そして、ポリニャークに掬い上げられたとき少し乱れた断髪を耳のうしろへかきあげた。
 程なく、ポリニャークとアレクサンドロフが前後して席へもどって来た。
「さて、そろそろ暖い皿に移るとしましょうか」
 酔ってはいても、格別変ったところのない主人役の口調で云いながら、伸子の方は見ないでポリニャークは椅子をテーブルにひきよせた。テーブルの角をまわってポリニャークの右手にかけている伸子は、部屋へ戻って来たと
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