Xに乗った。街燈が雪道と大きい建物を明るく浮上らせ、人通りの多い劇場広場の前をつっきって、つとめがえりの乗客を満載したその大型バスが、なじみのすくない並木道《ブリ※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]ール》沿いに駛《はし》るころになると伸子には行手の見当がつかなくなった。
「まだなかなかですか?」
「ええ相当ありますね――大丈夫ですか」
伸子と秋山宇一、内海と素子と前後二列になって、座席の角についている真鍮《しんちゅう》のつかまり[#「つかまり」に傍点]につかまって立っているのだった。モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]のバスは運転手台のよこから乗って、順ぐり奥へつめ、バスの最後尾に降り口の畳戸がついていた。いくらかずつ降りる乗客につづいて、伸子たち四人も一足ずつうしろのドアに近づいた。
「あなたがた来られてよかったですよ」
秋山宇一が、白いものの混った髭を、手袋の手で撫でるようにしながら云った。
「大した熱心でしてね、今夜、あなたがたをつれて来なければ、友情を信じない、なんて云われましてね――どうも……」
今夜までのいきさつをきいていない伸子としては、だまっているしかな
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