ッうけとって、自分の青年らしい様々の問題に連関させていないような保の気持が伸子には不安で、もどかしいのだった。伸子から云えば、保にはもっと率直な気むずかしさがあっていいとさえ思えた。そのことを伸子は感じているとおりにかいた。
「保さんの健康と能力と家庭の条件をもっているひとなら、高校に入るのは、むしろあたりまえでしょう。親はどこの親でも、親としての様々の動機をもってそれをよろこび、よろこびを誇張します。けれども、その親たちは、自分の息子が高校に入れたというよろこびにつけて、ほんとにただ金がないというだけの理由で、中学にさえ入れない子供たちが日本じゅうにどれだけいるか分らないということを、思いやっているでしょうか。
保さんの東京高校というところは、たった一人の貧しい学生もいないほど金持の坊ちゃんぞろいの学校なの? もしそうだとすれば、こわいことだし、軽蔑すべきことだわ。そこで育っている学生たちは、自分たちだけに満足して、世の中にどっさり存在している不幸について、想像力をはたらかすことさえ知らないのでしょうか」
書いている自分の肱で、紅絹《もみ》の針さしを床におとしてしまったのにも心づ
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