謔チて、半ポンドの砂糖菓子を買った。そんな買物をするのは素子として滅多にないことだった。
「ちょっと、一つだけ」
 伸子は紙袋から、苺《いちご》模様の紙にくるまれたチョコレートをつまんで口に入れ、同じように頬ぺたをふくらましている素子とつれ立って、広場の入口まで来た。きょうもその辺をぐるりとまわって来るつもりだった。
 いかにも晴れやかな厳寒《マローズ》で、露天商人もいつもよりどっさり出ているし、赤い広場の黒い二本の踏つけ道の上にも、一列につづいて、絶えず通行人がある。めったにこの辺をぶらぶら歩きすることもなかった素子は、
「やっぱりここの景色は味があるね」
と広場のはずれに立って、あちこち眺めわたした。そして、城壁に沿って足場めいたものの見えるレーニン廟へと目をとめた。
「一向工事がはかどってないじゃないか」
 レーニンの遺骸を、その姿のままに保存して、公開していたレーニン廟は、伸子たちがモスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]へ来たころから修繕にとりかかって、閉鎖されていた。
「なおったら見るかい?」
「なにを?」
「レーニン廟というものを、さ。――世界名物の一つですよ」
 素
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