いる意味がわからなくなって来た。クラウデは、どういうつもりで、リン博士を伸子に紹介したのだろう。リン博士の話しぶりには、親愛なこころもちが流れているけれども、クラウデに云われてここで伸子に会うために来ていることは、あきらかである。伸子は、リン博士と自分との間にあり得るいくつかの場合を考えているうちに、ひとつのことに思い当って、益々困惑した。もしかしたらリン博士は、何か伸子がうちあけて相談しなければならない真面目な問題をもっているように理解したのではなかろうか。たとえば合法的に旅券をもって来ているが、何かの形で政治的な活動にふれたいとでもいうような。そして、それが切り出されるのを待って、スカートのあたりのゆったりひろがった姿勢でテーブルによりながらこうして話しているのではなかろうか。さもなければ、その身ごなしをみても一日じゅうの仕事の予定をきっちり立てて活動しているらしいリン博士が、わざわざこの薄暗くて、お茶さえもないメトロポリタンの一室へ来て、伸子ととりとめない話をしようとは思えないのであった。どうしたらいいだろう。伸子は、さしあたってリン博士にうちあけて相談しなければならないようなど
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