いのだった、三重顎のクラウデが、現在モスク※[#濁点付き片仮名ワ、1−7−82]でどういう仕事に働いているのか。――
 クラウデは、ちょいちょい手くびをあげて時計を見た。
「サッサさん、もうじき、もう一人のお客様もおいでになります。わたくし、用事があって外出します。お二人で、ごゆっくり話して下さい。……それでよろしいでしょう?」
 クラウデにとってそれでよいのならば、伸子は格別彼にいてもらわなくては困るわけもなかった。
「いま来るお客さま、中国のひとです。女の法学博士です」
 そのひとが伸子に会おうという動機は何なのだろう。
「でも、わたしたち――そのかたとわたし、どういう言葉で話せるのかしら――わたしのロシア語はあんまり下手です」
「そのご心配いりません。英語、達者に話します」
 また時計をみて、クラウデは椅子から立ち上った。
「御免下さい。もう時間がありませんから、わたくし、失礼して仕度いたします」
 薄暗い奥の方で書類らしいものをとりまとめてから、クラウデは低い衣裳箪笥の前へもどって来た。そこの鏡に向って、禿げている頭にのこっている茶色の髪にブラッシュをかけはじめた。はなれた窓ぎ
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