くて、薄暗くて、二つのベッドがおいてあるところと、伸子がかけている窓よりの場所との間に、何となし日本の敷居や鴨居でもあるように、区分のついた感じがあった。窓の下に暮れかかった雪の街路が見え、アーク燈の蒼白い光がうつっている。窓から見える外景が一層この室の内部の薄暗さや、雑然とした感じをつよめた。黙ってそこに腰かけ、窓のそとを眺めている伸子に、クラウデは、
「わたしは、ここにブハーリンさんのお父さんと住んでいます」
と云った。
「ブハーリンさん、御存じでしょう? あのひとのお父さんがこの室にいます」
伸子はあきらかに好奇心を刺戟された。伸子がよんだたった一つの唯物史観の本はブハーリンが書いたものであったから。
「ブハーリンの本は、日本語に翻訳されています」
伸子は、ちょっと笑って云った。
「お父さんのブハーリンも、やっぱり円い頭と円い眼をしていらっしゃいますか?」
単純な伸子の質問を、クラウデは、何と思ったのかひどく真面目に、
「ブハーリンさんのお父さんは立派な人ですよ」
と、なにかを訂正するように云った。
「わたしたちは、一緒に愉快に働いています」
しかし、伸子はちっとも知らな
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