轣A好奇心と嫌悪のまじりあった感情で、ぐるりにいる女の群を見た。スーツを着ている女、このカフェーの特色である女で女の対手をする女は、どれも瘠せていて、云い合わせたように顔色がわるかった。そして、うすい顎の線が目立った。伸子たちのテーブルのそばを踊りながらすぎてゆく組をよく見ていると、スーツの上から肩胛骨がわかるように不健康な背中をしているのが多くて、ポマードをつけた断髪の髪をそこにかきつけてある耳のうしろあたりには、伸子を無気味にした病的なよごれの感じがあるのだった。
 伸子たちのテーブルへ、ベルリンでおきまりのビールがくばられた。伸子の顔つきを見て、
「へんな顔をするもんじゃないよ。誰も無理につれて来たわけじゃあるまいし」
 川瀬たちに対する礼儀と、そこにいる女たちへの仁義のように素子がたしなめた。君たちも女づれだからってベルリンの表通りを見ていただけじゃ、と風変りな[#「風変りな」に傍点]このカフェーへ、案内された。大戦後、ドイツのショウは裸ばやりになった。その流行はアメリカにうつって大規模なジーグフリード・フォリーズなどを生んでいる。先晩、伸子たちが同じ顔ぶれで観たもう一つの風変りなカフェーは、カフェーというよりもっと見世物式で、そこの立役者は、まるで若い女のような体つきをもった一人の男だった。きれいな金髪を柔かな断髪に波うたせて、大柄でぽってりとした体つきの裸体女が、音楽につれて、照明の輪の中にあらわれた。パリでジョセフィン・ベイカアがはやらした駝鳥羽根の大きい扇を体の前にあやつり、きっちりと小さい金色のパンプをはいた足の上で、あらゆる角度に桃色の体をくねらせながらしばらく踊った。胸のあたりも体のしまった若い女としか見えないその男は、踊りが終って照明の輪からぬけ出す瞬間、伸子たちのいるところからは見えなかった何かの動作をしたらしくて、それまでしーんとしてその女のような男の踊る姿に目をうばわれていた観客が、どっといちじに男の喉声を揃えて笑った。それは、ばかばかしいような異様なような空気だった。伸子たちは、その立役者のおどりがすむとすぐそこを出た。川瀬たちの話によると、そこにいたかなりの数の女客のうち、ほんとの女は何人位だろう、ということだった。
「ベルリンには、もっと気ちがいじみたカフェーがある。囚人カフェーっていうんで、そこじゃ給仕がみんな横だんだらの囚人服
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