派性の最高の組織に参加したことは、極めて当然である。

 同志小林に加えられた兇暴[#「兇暴」に×傍点]な白テロ[#「白テロ」に×傍点]は、とりもなおさず全文化・文学運動を暴圧する支配階級の野蛮兇猛そのものである。一人の確乎たるボルシェヴィク作家の存在にも耐えぬ程、彼等の危機は深刻なのである。宮島、板垣氏らが以上のような現実を把握し得ず、さながら同志小林の当然の発展の道そのものを非とするような口ぶりを示すことは、同志小林を殺し[#「殺し」に×傍点]た憎むべき真の敵の姿を覆うものであり、そのことによって、弔辞はかえって敵の支柱、反動の役をつとめる結果に立ち到ったのである。

          二

 同じく、プロレタリア作家の発展の本質を理解し得ないことから『国民新聞』に掲載された杉山平助氏の「小林多喜二論」も彼を支持しつつ誤った評価を結果している。杉山氏は書いている。「彼のごとき作家的才能のあるものが実践の為に精力をとられ、芸術的活動をそれほど鈍らせるのは大局から見て損失だ」という風に論じていたようであるが、私はそうは思わない。杉山氏によれば、同志小林は作家として「当面やるだけのこと
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