の気持は、一緒に稽古ごともすることでつまらない見栄だの競争心だのを、もっと集団的な気分にとかされてゆくだろう。
 そういうグループの精神にしろ、やはり自分たち若い働いている女性という現実の責任と誇りの上に立って、その上でひろくゆたかに生活の面をのばしてゆく方向で感覚されてこそ健全である。いわゆる気分のまぎらしどころであっては、従来の若い働く女性たちが、生活の空虚感からお花でも習う、それと質がちがわなくなってしまうであろう。私たちがもし生活に空虚を感じるときは、決してただそれを紛らす方法ばかりを考えてはいけないと思う。よくその空虚の感じを身にしめて、何故そんな思いが自分に湧くか、その根源を心と体のすみずみによく探って、できるだけの努力でその空虚の根をつかまえて、自分が正しいと信じる方向へ処理してゆかなくてはならないと思う。グループもそういう人生的な瞬間に役立つものであって初めて、女の成長のために意義をもち得るのだろう。
 炭の配給についての計画が決定されて、その一つに、アパート住居の独身者には配給せず、ということがあった。私の知っている何人かの若い女のひとたちは、アパートに一人住居して毎
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