が、このように不利であり不備である時代の現実のなかで、なおかつ未熟ながらも精いっぱいによく生きて自分たちの世代の価値を発揮しようとつとめてゆく実際を、ぬいて考えることは不可能なのである。
自分たちの明日は自分たちの意志でこそつくられてゆく。若い女性たちは、この真実を十分な責任感とともに感じとらなければならないのではなかろうか。自分たちの若い生命がそれに不条理を感じること、反撥すること、それをいくらかでも生活的に訂正して、より若い後からの世代につたえようとする姉らしいやさしさと勇気こそ、常に世代の姉妹としての私たち女の情愛ではないだろうか。
この頃、あちらこちらといろいろなグループをこしらえて、働く余暇に体育をやったり稽古や勉強をすることがはじまってきている。これは一つの流行であるかもしれないが、やはり働く女のひとの生活をゆたかにする機会としてよろこんでいいのだと思う。地味な、うちとけた仲間で集って、それぞれすきな勉強や稽古をし、ハイキングなどもして、たのしむこともみんなでする気風はいいと思う。これまで勤めと家庭の生活、自分の稽古事は、全然二つのきりはなしたものに扱って来ていた娘さん
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