とをも意味していて、社会の激しい動きはどんどん若い女性を社会的な職場へ招きよせているにもかかわらず、女について云われる家庭の婦人らしさの内容は、常に一番多く昔ながらの習慣しきたりを負うているのである。
近代的な社会要素と封建の要素とが最もいり組んだ関係で絡みあっているのが、日本の働く女性たちの境遇である。
これまでは一日きまった時間だけ働くと、あとはちりぢりに帰って、自分の趣味は自分だけでみたし、お稽古にも一人で通っていたようなひとたちが、この頃は集団的に自分たちの教養や趣味を培ってゆく方法をとっていることは、はやりと云って過ぎてしまえない意義をもっていると思う。
一緒にそういう稽古事もすることで、生活の一層多様な面が互に働いている女性としての共通な感情で結ばれて、日本の女性につきものであった因循さも失われ、初歩的な下手なところから明るく臆せず皆でたのしむという気分がゆたかにされる。稽古事やスポーツは、上達だけが目的ではなくて、それを愉しくやっているというそのことのなかに本当の愉しさが在るのだという、生活を立体的にたのしむ術も、身につけられようとしている。
勤勉な日本の女性たち
前へ
次へ
全5ページ中2ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング