地の塩文学の塩
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)旺《さかん》に
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)ふわけ[#「ふわけ」に傍点]の仕事をして、
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文学批評の貧困ということがこの頃又人々の注意をよびさましている。貧困な今日の文学において、批評という一つの分野についてだけ云われることなのだろうか。批評精神というものはただ或る対象をとらえて、それを分析したり解剖したり、つまりふわけ[#「ふわけ」に傍点]の仕事をして、これのからくりはこういうものである、ということを明かにする範囲がその本質ではないだろうと思う。批評精神の根本には、創造的な面がある。その創造的な思意に或る対象がふれて来るところから発する一つの客観的な押しすすめの精神作用が、批評の精神としてあらわれて来るのではなかろうか。小説と批評的な評論とは、ジャンルとしての違いがおのずから語っている形成の過程にこそ各々独自なものをもっているが、その根底となる感動、或は感受性というものは、それが人生と文芸とに対して何かの意味で積極なものを含んだ思意的な強健さであるとい
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