男女交際より家庭生活へ
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)吻合《ふんごう》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)相|偕《とも》に
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)叱※[#「口+它」、第3水準1−14−88]
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先頃の『弘道』に掲載された「日本人の理想に吻合《ふんごう》しない西洋人の家庭生活」と云う記事を読み、種々な感想の湧上るのを覚えました。
全篇の結論として、目下問題とされている家族制度、家庭生活改善の理想を徒に外国の風習などに摸倣せず、日本は日本民族独特の見地から、識見を以て発足すべきであると云う主旨には、恐らく何人も意義を挾む者はないでしょう。
あらゆる国々の習俗には、悉《ことごと》く美点と欠点とが並行しています。人間が、或る場合自己の天分によって却って身を過つことがあるように、一国にしても、或る時には、その是とすべき伝統的習俗によって、却って真実な人間的生活に破綻を生ぜしめることが多くあります。それ故、
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