短い感想
――家族円卓会議について――
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)忌憚《きたん》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九三五年四月〕
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古いころから文学に関し、或はエレン・ケイの思想紹介に関し、様々の文化的活動をされた本間さんのお家で、そのお嬢さん達が友達をも交えて、親御さんをもともに座談会をもたれたという事は、私に何か印象を与えた。本間さんのところにいつしかもうそんなに大きい娘さんがたがおられるということ、私の少女時代に暗いロマンチックな作品をよんだことのある小川未明さんが今日では二十三歳になる若い女のかたの父親であられること。それらは、私に明治時代から今日までの社会生活と文学のうつりかわりをおのずから思いおこさせたのである。
いかにも屈託のない家庭らしい。速記録をよんで、私はいろいろの暗示をうけ面白く感じた。若い娘とその両親とが、公人としてそれぞれの立場から結婚の問題や婦人と職業の問題について睦じく公然と意見を話す時代になって来たのは、社会的に云っても、家族生活にとって一つの積極性
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