劇場で活躍するより数世紀以前に白骨となっている。どこの、どの、神曲を書かさるるこれはダンテであったのだろうか。
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書簡(一〇)
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註。緑濃き野面に一本の桜桃の樹が丸く紅の実をたわわにつけている。その枝の下に一人の若い女が柔かい顎をあげて梢を仰いでいる。その顎のまわりに父はペンをとって細い一連の鎖とロケットとを描き、ロケットの心臓型の表には、はっきり小さくYと刻まれている。母の名は葭江である。
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書簡(一一)
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註。若い娘が三つのリンゴを掌の上に舞わして遊んでいる。イギリスの子供の生活にお手玉はあるのだろうか。お手玉はしなくなった娘は、ケンジントン、パアクの芝生で、これも老年に至った父とプッティング、グリーンをして戯れた。
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書簡(一二)
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註。漱石が明治三十三年にケムブリッジへ行ってそこの学生々活を観察し、次のように書いている。「こゝにて尋ねたる男の
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