、私がしんから、誰でも夙[#「夙」に「ママ」の注記]かしがりそうにつまらない素朴な庭園が好きなのだと云うことが、信じられないのである。又、私は夙うから自分につけて説明することは断念して居る。彼は大方余り沢山な本や孤独な習慣の為に彼の所謂私の『理性』が少し如何うにかなって居るのだとでも結論したであろう。
私が愛する庭園の花は、ごく古風な薔薇、向日葵、はなあおい、百合などである。そして、私は此等の花が、野生のように繁って居るのを見たい。きちんと、均斉保った花壇は私の嫌いなものだ。そう云う花壇に植え込まれる大部分の花、――雑種で、ジョウンジアとかスヌクシアとでも云いそうに仰々しい名前の――は私の眼を傷める。」
[#ここで字下げ終わり]
[#地付き]〔一九二四年四月〕
底本:「宮本百合子全集 第十七巻」新日本出版社
1981(昭和56)年3月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
初出:「山陽新報」
1924(大正13)年4月9、10日号
入力:柴田卓治
校正:磐余彦
2003年9月15日作成
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