によって各層の大衆を組織するのが作家同盟の目的であろうということをほのめかしている。
 大衆をプロレタリア文学の影響の下に組織するためには、創作活動と組織活動とがなされねばならぬ。大衆に働きかけ企業・農村からの新しい文学の働きてをひき出し、実際に同盟を大衆的組織とするためには、ここにもまた旺盛な組織活動がなされねばならない。既成の作家たちが、刻々うつり変る客観的情勢の下で真に闘うプロレタリアートと共に前進し、新たな段階に自身を再教育するためにも、組織活動は重大な意味をもっているのである。
 プロレタリア文学における政治の優位性については、すでに明らかにされている。
 同志林、神近などによって、プロレタリア文学運動における同伴者性が特に強調されていることをわれわれは注目しなければならない。プロレタリア文学運動における同伴者的作家というものを、先に述べた規準によって正当に理解しないならば、この戦争と革命とへの時期において、日本のプロレタリア文学運動を、敵の前に武装解除させるところの、明らかな右翼的逸脱への危険を示すものとなるであろう。
『朝日新聞』の「我等の運動」において、同志藤森は、作家
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