同志蔵原は、「プロレタリア芸術運動の組織問題」の中で、繰返し繰返し組織のデモクラシーを、ボルシェビキ的指導で貫徹することの絶対的必要を力説している。
最後に、これらの批判中に示されている中條の論文と指導部との関係についての関心に対して一言したい。
同志神近は、中條の「左」への危険を含んだ論文をもって、「同盟が過去一年間に堆積して来た指導理論の一部の偏向を極端な形で現している」と云っている。しかしどのような根拠から作家同盟の指導理論には左翼的偏向があると云い得るかという具体的事実については説明していない。
同志神近は、作家同盟が画期的な実質的再編成として組織活動に着手したことを意味しているのであろうか? あるいは文学におけるレーニン的段階の確立のための推進、文学における党派性などについての理解が、彼女には「極左的」な響と感じられているのであろうか。
もしそうであるとすれば、同志神近は「作家同盟の目的は何であるか?」(『日日』の月評)という自身の文章によって、半ばの答えを提出していると云える。同志神近はその文章によって、作家同盟が大衆的組織であること、ひろいプロレタリア文学の影響力
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