作家同盟の成員が種々の層からなりたっているということは、作家同盟という一組織の内部でそれら様々の段階の作家たちが次第にプロレタリア作家として自分たちを強力に鍛え純化してゆくことを、既定の条件としているわけである。作家同盟のなかに、同伴者作家団などというものが別箇なグループをなして包括され得るという理解はなり立たぬ。作家同盟が特に同伴者「的」、或いは同盟者「的」作家を包含するという所以である。
 また同伴者作家というものを考えて見ても、それは決して、プロレタリアートの課題を課題とする作家同盟の基本的な方針に離反したり、その到達点を引き下げて自身の低い段階を合理づけたりする態度を予想してはいない。そのことについては全く逆である。同伴者作家の本質は、自分の社会的・階級的制約性に制約されつつも、あくまで自分からプロレタリア文学の前進とその本筋とその高まる水準に適合するために努力しつづけるところにこそあるのである。
 共産主義的作家も、同盟者的、同伴者的作家も等しくなさねばならぬことは「同盟の最も進んだ到達点に立って、運動に新しい発展を与える如き創作活動を志す」(第五回大会決議)努力である。
 
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