のの動きで、抵抗の実感と行為が表現されてゆかなければならず、そのような活溌な生きた力を労働者階級の文学がわがものとしてゆくためには、職場で文学の仕事をしてゆこうとしている人々が当面している二つの問題が全般的に見直される必要がある。一つは、職場の人々に時間の自由がないということ。もう一つの、もっと内面の問題として、組合活動で求められている一定の気分とめいめいの文学創作のモティーヴとなる実感との間にずれがあるということ。そして、この切実な苦しみの原因は、過去の組合活動がはげしい動きをもちながら経済主義の傾向ばかりがつよかったために、たたかいの経験を階級的人間としての成長の実感にまで重厚にみのらすことが出来なかった点と、職場の文学愛好者が文学に対してゆく心もちに、まだ少なからず過去の「文学」概念が影響していて、職場生活の現実と文学を愛す心とを統一的に強めてゆこうとする意志をはっきりさせていない点とに潜んでいる。文学を愛す人の心は、現実をもより深く感じ、考え、理解しようとする本来の特長をもっているのだから、その意味で、新しい民主文学のつくりて[#「つくりて」に傍点]たちは、職場生活をこめてどん
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