にふれた時に我からはなれた我の中に生き、幼子の様なすなおな気持になる事が出来るのだ。
誰に言葉をかけられても快く返事が出来、開いた心地で笑う事が出来る様にして呉れるのだ。
私は心からこの美を讚美する。
そして又地球が滅びてもなお此ればっかりは滅びると云う事を知らないで輝いて居るものである事を信じる。
美はどこの暗い中にでも冷っこい隅にでもあるものだ、その普通の美よりももっと尊い美がより沢山ある事を若し思わない人が多くあったとしたらそれ等の人は自然から受くべき嬉びの半ばほか感じて居ない人達である。そして可哀そうな人達であるのだ。
自然に反向[#「向」に「ママ」の注記]心なく対して居る人は少ないと私よりも年を取った経験と名づくべきものを沢山に抱えて居る人が云った事を聞いて居る。
けれ共私は心のありったけ自然を讚美し崇拝して居る。そしてそれは私の今の気持には幸福な事を知って居る。かなり長い時間が私が自然をなつっこがって居るうちに立った。
初めは只偉大だと思ったりかなりの細っかい美くしさを感じたりして居るうちに、私が思いがけなく見出したのがこの驚くべき繊細な美であった。
私の字
前へ
次へ
全7ページ中5ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング