人間イヴの誕生
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九四九年十一月〕
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この新聞に、若い女性のための頁がおかれるようになったことは、うれしい。
日本の女性の生活は、この四年の間に何といってもかわって来た。きょう一部の婦人雑誌が何かのマニアにとりつかれてでもいるように恋愛と性にはまりこんでいて、わたしたちにほしい科学的な性の知識や人生の設計としての愛情の問題からは遠くずれおちた絵そらごとやきたならしい猥談で、少女たちの好奇心までを餌じきにしているところを見ると、実に日本のひどさが思われる。封建的であればあったで女が非人間的にあつかわれた。植民地化されて慰安のストリプト・ティーズが公然演じられるようになると、人間の性が自然に保っているまじめさ、おのずからに精神がそこに浮ぶ性の行為が、こんどは、逆上した露骨さでひろげられている。
矛盾だらけで、本能的で狭い生活から解放されていない女というものを、自分が女だから一層きらいだと思っている女性はきょうの日本に少くないのかもしれない。『週刊朝
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