親子一体の教育法
宮本百合子

−−
【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)諤々《がくがく》

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地から1字上げ]〔一九四一年十二月〕
−−

        若々しい時代の影響

 私たちの育った時代の父と母との生活ぶりを考えると、若い生活力の旺な自分たちの生活への態度そのものの中に幼い子供たちをひっくるめて前進して行ったという感じがする。
 もし家庭教育ということを云えば、そういう積極活溌な日常の生活感情が、おのずから親として子供らに対するあらゆる場合の裡に溢れていて、子供の人生への歩みぶりにいつとはなし影響して来ていたと思われる。
 ごく活々としていた家の空気は大人にとっても子供にとっても成長力の漲ったものであったが、それは人間の成熟のために計劃され、整理されたものではなくて自然に、云って見れば父や母の年齢、気質、時代の雰囲気との関係でかもし出されていたものだったから、両親が年をとるにつれて、若々しく克己的で精励だった気分は変化した。そして、大きくなった子供としてはそこに悲しさや苦しさを感じるようなも
次へ
全5ページ中1ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング