ヴォストクでは、町の人気も荒そうに思われていた。来て見るとそれは違う。時間の関係か、街はおだやかだ。港もしずかだ。海の上を日が照らしている。
自分は、一口に云えない感情で輝く海のおもてを見た。
СССРの、ほんとの端っぽが、ここだ。
モスクワからウラジヴォストクまで九千二百三十五キロメートル。ソヴェトは五ヵ年計画でここに新たな大製麻工場を建てようとしている。同時に、日本海をこえて来る資本主義、帝国主義を、この海岸から清掃しようとしている。かつてウラジヴォストクからコルチャック軍と一緒にプロレタリアートのソヴェト・ロシア揉潰しを試みて成功しなかった日本帝国主義軍、自覚のない、動員された日本プロレタリアートの息子たちが出入りした。次に、利権やとゲイシャと料理屋のオカミがウラジヴォストクをひきあげた。一九三〇年の今日、朝鮮銀行の金棒入りの窓の中には、ソヴェト当局によって封印された金庫がある。[#地付き]〔一九三一年一、二月〕
底本:「宮本百合子全集 第九巻」新日本出版社
1980(昭和55)年9月20日初版発行
1986(昭和61)年3月20日第4刷発行
底本の親本「
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