も、キネマの製作者も総動員を受けた。彼等芸術労働者は、新しいソヴェト生産拡張の現実、それにつれていちじるしい変化を生じた労働者農民の日常の生活状態、社会的感情などを芸術の内にいきいきと再現し、さらに芸術を通して民衆の階級的自覚を社会主義社会の完成に向って一歩押し進めようとする重大な階級的役割をもった。
 若いキネマ製作者たちはカメラをもって、農村へ、炭坑へ、森林の奥へ進出した。(そして、日本のキネマ愛好者はトーキョーで、傑作「トルクシブ」を観た。)
 作家、記者は、彼等の手帖が濡れると紫インクで書いたような字になる化学鉛筆とをもって、やっぱり集団農場を中心として新生活のはじめられつつある農村へ、漁場へ、辺土地方(中央|亜細亜《アジア》やシベリア極地)へ出かけた。作家の団体は有志者を募集し、メイエルホリドの若手俳優や劇場労働青年《トラム》の遠征隊と一緒に、特別仕立の列車で文化宣伝にモスクワを立った。
 いろいろ面白い農村新生活の記録の報告が現れた。国立出版所は、五カペイキや二十カペイキの廉価版を作って、それ等を売り出した。
『|集団農場・暁《コルホーズ・ザリヤー》』十五カペイキ。|集団農
前へ 次へ
全27ページ中18ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
宮本 百合子 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング