人たちはアルバイトまでして勉強しています。真剣に社会について考えている。女の子は汗じみたなりを辛抱しているという一つのことにしても、男の学生よりは生理的に心理的に苦痛が多いのです。日本のような社会の歴史をもったところでは、この矛盾のひどい中で悪に抵抗して力一杯生きようとしているけなげな若い女性のためには、男の人たちが人間的同情にとんだ態度であってほしいと思います。さっきの「進歩」について云ったように、いくら一握りの青年が前進してもその半身である若い女性が遅れて[#「遅れて」に傍点]いたら、その互の不幸は深いと思います。
ところがまた女性の側からいうと、男の遅れている[#「遅れている」に傍点]ということが実際問題になっているのです。男の感情の習慣と生活の形の中には、自覚ある女性が切なく感じている封建性と男子優越が残っています。組合の中でもそういうことはある。一昨年でしたかやっぱり『学生評論』で各学校からの男女学生が集って座談会をしたことがありました。丁度学生祭のあとで、話題は豊富でしたが、女子学生の問題の中には家庭と職業との矛盾をどうするかという問題があり、したがってそれが恋愛や結婚の
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