問題にもつながって考えられていました。日本の現実では、この点がまだ社会的に解決されていません。経済事情が悪化している今日、学生のアルバイト、主婦の内職、また内職的な意味でのかけもち[#「かけもち」に傍点]職業の問題が増えてきて、女性の重荷はましています。
積極的な意志で結婚した人々もこういう問題については、苦しい経験をしているわけです。根本は家事が個別的に主婦の負担であるということが原因です。今日民主的な活動をしている人々の間に、思ったよりも多く従来の結婚生活がこわれてきています。外で働く男の人は仕事の場面でまだ若い身軽な女性を見出して、その人と新しい結婚生活に入ることが発展だという風に理屈づけるけれども、その婦人が又結婚生活の中で主婦として暮しはじめたとき、果して全く新しい家庭の形態というものがつくれるでしょうか。その人の上にも、女として家庭と仕事との矛盾はおこらないでしょうか。矛盾のままの、無理だらけの毎日を送って、ちっとも心に不満が起らない程日本の「家庭生活」のなかでの経験者――既に一人の女性はその家庭の犠牲となったほどの――男の人が、万年青年であり得るでしょうか。
若い一組
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