なければならないと思います。文化と政治との関係の進歩した具体的な表現として、もっともっと親愛されていい。文化・文学における政治の優位性ということを、たたかいの年月を通じてまじめに体験し、理解している人は、既成の学問の諸分野において、民主的創造、民主的な学問の達成そのものが闘われなければならないことを痛感しています。学問を愛する多くの学生が大学法案に反対し、さまざまに政治的に行動する場合にも、学問の道そのものにおける勝利の意義が忘れられたことはなかろうと思います。

        四 頽廃への抵抗

 学生運動の分野で女子学生の活動はどんなものでしょうかときいたらば、編集部は次のように答えられました。「男の学生に比較すれば量において少いし、人間的生長といった面でも遅れているように見受けられます」と。わたしは正直なところこの御返事の気分に不満なのです。日本の女学校教育は特別なものであったから、共学がはじまってまだほんの僅かしかたたない今日、女子学生が男の学生に比較してあとにいるという事情にも無理もないところがあります。日本の民主化されていない家庭では、女の負担が実に多い。それでもまじめな
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