新しいアジアのために
――アジア婦人大会によせて――
宮本百合子
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【テキスト中に現れる記号について】
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(例)[#地付き]〔一九四九年十二月〕
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いよいよきたる十二月十日から一週間北京でアジア婦人大会がひらかれます。そして日本からもそこに出席するために代表がえらばれました。これは現代の人類の歴史にとって深い深い意味をもつ新事実です。
世界地図をひらいて、アジアを眺めましょう。まず、アジアの北の広い部分を占めてソヴェト同盟の、いくつかの民族自治共和国をふくむ地域があります。広大なその地域と、これもまた広い中華人民共和国との間にはさまっているために、せまいように見える蒙古人民共和国があります。三十八度線を区ぎりとして、北朝鮮の人民共和国が見えます。その東に、太平洋に弓なりにかかって、わたしたちの祖国日本があります。
けれども、今日アジアの地図の中に見る日本は、わたしたちの心を苦痛でみたします。ソヴェト同盟の国境、朝鮮、満州をふくむ中華人民共和国、ビルマ、シャム、マライ、印度支那、フィリピン、とアジアの地図に描かれてい
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