です。泉山蔵相がよって、醜態を演じて、さめたときはおぼえがないという、それでとおってきたこれまでの天皇制的特権者たちの共通なみにくさとはらだたしさです。これは男の封建性とか一部の今日の特権者の腐敗という小さい問題ではない、金と女と酒という、もっともひくい所から人間の値うちが証明されてくる――その点からさえも彼等が落第であるということを選挙直前のもっとも適切なときに自分から証明したものです。
一方で高倉テル氏をつかまえ自由を剥奪し、ハンストを行わせるまでにしながらかくすよりあらわるるはなしで、こんなくだらないことでこれほど民自党を周章狼狽させた泉山蔵相は現代のカリカチュアです。
山下春江代議士の日ごろの態度にもすきがあったことはたしかでしょう。婦人代議士があれほど、「婦人の問題は婦人の手で」といって立候補しながら議会開会の全期間をつうじてその議場の演壇からもっとも雄弁にうったえることができたのが今日の醜態事件についてであるということは、またブルジョア婦人代議士の悲惨なる境遇をものがたっています。
[#地から1字上げ]〔一九四八年十二月〕
底本:「宮本百合子全集 第三十巻」新日本
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