があらわれて最後の幕切れとなった。要するに吉田首相とその乾分は世界のブルジョア政治家も裏面でしかあらわさないような男としての醜態を参議院で演出してもう民自党に投票してくれないでもいいんだということを天下に声明しました。
 男が酒をのんで女にからむということは恐らく日本にだけ通用する乱行でしょう、なぜなら中国のブルジョア政治家は日本のよっぱらいをみて、あの人々はなぜ酒をのまないで酒にのまれているだろうと驚いていました。日本の封建性――殿様とだんな様との御乱行がいつもそのめしたのものや女に向ってあらわされるというなさけない習慣です。泉山蔵相のくだのなかで「新給与問題よりも山下春江(民主)女史の方がすきだということの方が問題だ」といったということが新聞にでていますが、これはなまよい本性にたがわず、本音でしょう。もちろんあとから本人にきけば「何もおぼえていない」でしょうが極東裁判で天皇が責任をもたないということを明瞭にされて大変によろこんだのは誰だったでしょう、国民はそれをよくしっている。
 私達常識人からみると、これは一公人として無能力であったことを世界に証明してもらってありがたいということ
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