れて野蛮な用語の一つである「アカ」のやからだけであるという偏見が流布されるようになりはじめているのは、どういう理由だろう。アカという言葉を、戦争中の日本軍事権力は人民を裏切る国賊という意味でつかわせた。そして、侵略戦争に反対する良心の声を抹殺したのであった。その結果は、どうだったろうか。
第二次大戦後、世界が平和運動を最も重大な歴史の課題として、そのために国際的な組織をもち、世界各国のまじめな、能力ある人々が、それぞれの国の中で熱心に活動をつづけているのには、現代の世紀の当然な理由がある。
第一次ヨーロッパ大戦、そして第二次ヨーロッパ大戦。二つの大戦は、その一つごとに戦争の被害を拡大させて来た。第二次大戦では、アフリカの住民までも飛行機と爆弾をしらされた。現代の科学力は、それが国際的な軍需生産者の独占資本に使役されるとき、戦争行為におかれた国々の軍事的拠点に、想像できないほど巨大な破壊力を加えるばかりでなく、その周辺の全く無罪な人民の生命を、老若の差別なくみな殺しにする。この事実はナガサキとヒロシマによって経験されている。戦争と軍需生産者の独占資本の関係は、資本主義の社会悪として
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