わり]
 つきとばした様に叫んだ千世子は男の様な味もそっけもない口元をしてHを見た。Hは苦笑をして源さんと話して居た。
 家を出る時っから源さんは、重い進まない気持になって今日こんなところに来ると云い出さなけりゃあよかったとさえ思って居た。
 電車の中でも自分の隣りには座らないでHのわきに座った。話をするにもHとする、笑うのにもHの方を見る、いかにもおさなげな事ではありながらたまらないねたましさが湧いて居た。
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「彼《ア》れは己れよりもHを愛して居るんだキット」
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 こんな事もフイと思って、
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「デモHより己の方が若い!」
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 力ない笑いを瞳の中にうかべた。おっぱらい様のないねたましさに、
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「何だ! 馬鹿らしい、どうだっていいじゃないか……」
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 と思いながら千世子の目の動き方から、体の動かし方、手の有り場所まで無しょう[#「無しょう」に波線]に過敏な神経を眼の底にあつめて見守った。
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「ほんとうに己はなぜこんなところに行こう
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