い、それをむやみと表白して「私淋しゅうござんすわ」とか何とか云ったりするのがきらいだった。それだもので何のために泣いて居るのか? と思ったらいつの間にか涙はとまって居た。そのかわり恐ろしいほどの陰気さと疑が雲の様に湧き上って来た。「妙だ!」引っからびた様な目つきで千世子は思った。おや指の腹でうなる様な音を出してそれにききほれながら年よりの様なかたまったかおをして居た。Hと源さんは庭の方から高く笑いながら入って来た。
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「どう? もういい?」
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源さんの口元にはさっきっからのつづきらしいわけの分らない笑がのぼって居た。
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「この人達は自分の笑いたい事をさんざん笑ってその笑のおのこりをもって来て『どう?』なんかって云ってる」
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千世子はカーッとしてでくの様の頭をふった。
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「少し気分がよくないらしいんですねえ!」
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Hは千世子の気むずかしい眉つきを見ながら云って長椅子に源さんと並んで腰をかけ、源さんは時々千世子の方を見ては体をゆすって居た。おしにさ
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