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「馬鹿な――そんな事云うもんじゃないよ、人から何とか思われる――」
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 母親はさえぎって云った事を消してしまうと云う様に手をはげしく横にふって大業にしかめっ面をした。
 かなり更けるまで景色の好い事や妹の大きくなった事を話した。話を聞きながら千世子の目の前には人気のない冬の海辺の舟が腹を出してほされあみの細々とひかって居る所を強い波のとどろきに気をひかれながら、遠い事を考えて歩いて居るHの様子が目の前にうかんで居た。高山先生のお墓には自分も埋めて欲しいほど気持よさそうに思えた。Hは帰りしなに上り口の敷石のところでこんな事を云った。
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「私はどっちが自分の家だか分らないようになってネエ」
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 だれもまってないまっくらな家にかえって行って一言口もきかずにだんまりで下女のしいた床に寝てしまわなければならないHの様子を思って千世子はさしぐまれる様になった。
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「それでもマア好いサ」
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 わけの分らないこんな事を云って、
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「お嬢様は
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