り]
と云われながら罪のないかおをしてねてしまった。
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「アアそうだっけ、さっき興津から葉書が来てあした夜かえって来るってサ、Hが。オヤ、もうねたのかい」
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 母親の低い声で云うのは夢心地できいて居た。

        (五)[#「(五)」は縦中横]

 興津から帰ったHは見違えるほど血色がよくなって快活な眼色をして居た。高山先生の御墓の絵葉書と名所カアドを千世子に呉れた。
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「沢山勉強が出来ましたろう」
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 Hは笑いながら云った。「マアそんな事云うもんじゃありませんわ」なんかとこんな時云う事はだれでも――どの女でもする事だ、瞬間に千世子はそう思って、
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「エエ、エエ、そりゃあ勉強が出来ましたとも」
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と云ったあとから、こんな言葉をつかっても「そんな事あるもんですか」と云うのと大した違いはないと思って苦笑いをした。
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「貴方私の大好きな額を少し黒くしていらっしゃった」
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 千世子は気にかかる様に云った。
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