指でしごいてキューキューと音をたてて下前を一寸ひっぱって袴のひもの結び目をポンと叩く事を目ざましい手ばやさでする男、どれもどれもこんな人のところへわざわざお嫁に行く人があるんだろうか? と思われる人達ばっかりだった。口元では笑いながらはぐきで「つン」とせせって叔母の横がおを見た。
杯が廻ってからの男達の様子はよけいしだらのない愚かしいものに見えるばっかりだった。あっちこっちで「お嬢さん」とへべれけな声を出してよんだりした。中には「奥さんの御めいごさん」なんかとおどろいて頓死しそうな間ぬけな呼び方をする男さえあった。酔って手をふるわせながらまだあふれそうな杯をにぎって袴からひざにダラダラと斬りかけられた様に酒をこぼしてあわててふこうとする拍子にたもとの先をお碗の中に入れたりする男の様子を千世子は手伝ってふいてやろうともしないで眉をひそめて奥歯をがチがチ云わせてにらんで居た。(こんな人達の女房なんか年中おはしょりをずるっかずるっかして袖口の光った着物を着て、ひまさえあれば塩豌豆をかじりながら火鉢の灰にへのへのもへじをかく事ほかしらない方がいいんだ)こんな事を思って居た。畳にお酒のしみを三
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