と出て居る。厚いカアペットの上に紫のクッションを敷いてHはなげずわりに座って火を見ながら歌って居た。胸の貝のボタンが大きくまたたいて紺と茶の縞の千世子と同じ形の寝間着の背中はポッカリとふくれて居た。
 ローソクを消すのも忘れた様に千世子は立ったまんまで居た。フッとふりかえったHはおどろいた様なかおをして云った。
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「どうなすった? 今頃――」
「ねられなかったんですワ」
「ねられない? 私も、だからこうやってさっきっからここに来てたんです」
「そう、だけどいいあけ方です事ネエ、部屋でさっきっからいろんな事を思ってよろこんで居たんですワ」
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 千世子は夜はねなくっちゃあならないもんだって云う事を忘れてしまった様にうきうきした声で云った。そして火のそばにラシアの足台をもって来てそれに腰をかけて白い毛につつまれた足を二つ小さくそろえた。桃色の着物はスーッとゆるやかに流れて房のボッチがHの茶と紺の縞の房とならんで美術的な色や形をして居た。二人はややしばらくだまって薪のはぜる音をきいた。
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「あしたつかれましょう?」
[#ここで
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