私はどうしても純文学としての価値のあるものをよろこんでます、けど阿母さんは私の云う事は大不賛成なんです。けれ共私はそう思って居ます……」
「私はどっちをどっちと云いかねますねエ、近頃の小説は一寸もよんで居ずそれについて又深く考えた事もないしするんですから、ちょっくらちょいとは云いきれないものです、……」
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Hは何か深く考えながら低い声で云った。千世子はそのはっきりしない答えが気に入らなかった。
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「じゃあんたはどう思っておいでなさる? 私の様にか阿母さんの様にかそれとも又別の……」
「私はごく平凡な事を思ってます。あんまり常軌を逸して居なければそんなにああこう云いやしません、世の中の事ってのは或る程度まで人なみにやって行くことが心要なんですから……」
「そう云うお考えなら私と阿母さんの間に入って好いお考えなんですねエ」
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千世子は頭のすみに今日一日中考えた事のかすがたまってでも居る様に重い片っ方にかたむきそうに思われて来た。時計はもう二時すぎをさして居た。阿母さんは自分で話の問題を出して置きながらすみの椅子によっ
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