居た。
Hには、忘られる様で忘られない千世子の顔を見ると、先に云った事をくり返したい様な気持になった。
女のとりすました、考えてばかり居る様な顔や目を見ては、
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「もう忘れましょう」
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と云った言葉に対しても又女の様子に対してもそれを再び云い出す事は出来なかった。
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「時が来たら……」
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Hはそればっかりをたのみにする様に思いながら前よりも繁く千世子の家へ出入りした。来るたんびに悲しい気持になりながら、
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「でもまだ私をすきがっては居る、顔が青いとか頭が痛そうな目つきだと云って居た。
今はそれで満足して居なくっちゃあならない。時が来たら――」
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とくり返して居た。
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「時が来たら――」
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心にくり返しながら、Hは源さんと云う人が居る――と思った事もあった。
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「横どりされたんじゃああるまいか……」
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源さんと一緒になれる様にねがいながら度々千世子の
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