子がきのうより悪くなって気のぬけた人の様に唇を少しあけて胸をはだけて夜着からのり出してあてどもないところを見つめて居た時、忍び足をして来たHはわきに座って居る母親に小ごえで云って居た。
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「おそく失礼ですけど、きのうあんまりよくないってでしたから今夜はよそに出かけたんですけど気になって御よりして見たんです。やっぱりいけないんですねエ、どうしたんでしょう、こんどよくなったら転地でもさせてあげなくっちゃあいけませんネ、今が一番大切な年だのに……」
「どうしたんでしょうかネエ、父様なんかそりゃあもう大変なんですよ、案じて。今馬鹿にするのはあんまり惜しいと云ってネエ」
「馬鹿になるなんて――そんな事は有りませんけど頭[#「頭」に「(ママ)」の注記]まく炎でも起すと悪うござんすネエ、頭ひやしてあげては?」
「それまでにしないでもいいでしょうがネエ」
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フッと打たれた様にハッキリした千世子は背骨の一番頭に近いところがきりでもまれる様に痛むのを知った、脳膜炎の徴の一つだといつかだれかにきいたのを思い出しては身ぶるいをした。
目の前には、すっかり馬鹿に
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